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音でリラクセーション
新闻来源:    点击数:1420    更新时间:2017-05-19 17:17:35    收藏此页

サウンドヒーリング協会 理事長 喜田圭一郎

天気の良い日に森の中や、海辺の近くをゆっくりと散歩をするのはとても気持ちのいいものです。自然の中にいるだけで、心がやすらぎ体もリラックスします。木漏れ日を体に感じながら、目をつむってゆっくり深呼吸をすると、森の香りや潮の香りと共に、新鮮な空気が体のすみずみまで行き渡りとても幸せな気持ちになります。耳を澄ますと、せせらぎの音や波の音、小鳥達の声が心地よく聞こえてきます。
自然の中で五感に感じる光や色彩、音、香りまた風のそよぎなどの心地よい刺激は私たちの心をなごませ、体の緊張をほぐしてくれます。自然から生まれ、自然の一部ともいえる私たち人間にとって、自然は「癒し」や「生命」のエッセンスに満ちた、心と体の本当の故郷なのでしょう。

青空に流れる雲や水平線の彼方から昇る太陽をみて古代の人々も感動し、また喜びました。そしてこの自然現象を人間が表現し再現するところから生まれたのが芸術だと言われています。なかでも、木をくりぬいて作った笛や自分の声などを用いて始まった音楽は、古来から様々な儀式や病気の治療のために使われていました。日本では古事記のなかに、神の心を表現しそれを伝えるための「あそび」が音楽の意味だったと説明されているようですし、中国の孔子は大変な音楽好きであり、音楽が生活の調和に役立つものと信じていたといわれています。

ギリシア時代の哲学者ピタゴラスやプラトンたちも音楽により人間の魂が宇宙や自然と調和すると考えていたようです。音楽の響きにより人間の心が地球の自然や宇宙と調和し、そのことが人の心の成長のために大変重要な意味をもつと考えていました。また逆に、音楽の力により、人の魂や心の深い部分に働きかけることができる。そして音楽の正しい働きかけが内面的に深く、より大きい人間に成長するために役立つと考えていたのでしょう。

医術により身体を浄め、音楽により魂を浄めることを大切にしていた彼らはいったいどんな音楽を聞いていたのでしょうか。CDやカセットテ−プなどに録音する方法のない時代、音楽はすべて演奏することでしか聞けない時代ゆえ、音楽を聞いている時間は大変貴重なものだったことでしょう。環境音楽の作曲家ブライアン・イーノは「音楽は時間とともに変化する空気の彫刻のようなもの」と表現していますが、音楽の彫刻に身も心も包まれ、調和と喜びとやすらぎに満ちた至福のひとときだったに違いありません。

エジソンが蓄音器を発明して以来、音楽は演奏しているその「とき」を記録に残しいつでも好きな時間に聞けるようになりました。現代では音楽がジャンルによって細分化され、エンタ−テインメント性の高い音楽がCDやMDなどに複製され商品として価値を持ち、街では到る所で音楽が溢れ、むしろ音楽のない場所を探す方が難しいくらいです。また音楽のない生活は考えられないという人も多いのではないでしょうか。
様々な音楽家、アーテイストが愛や自分の夢、時代に対する考え、自然への賛歌などを自分のメッセ−ジとしてメロデイー、リズムまた歌詞の中に表現し、音楽を作曲し、演奏し、時代の変化とともに優れた作品が数多く生まれてきました。

朝会社に行く前に音楽で元気をつけながら着替えたり、失恋して沈んだ気持ちが音楽によりなぐさめられたり、登校拒否の生徒が音楽により元気づけられたり、カラオケやキャンプなどでみんなが知っている曲をいっしょに歌って、嫌なことを忘れてみんなの気持ちが一つになったり、ど んなジャンルの音楽であれ、音楽は人の心に働きかけ、聞いている人の心をその音楽の世界に連れて行ってくれます。そして人は自分の気持ちをわかってくれる 曲、今の自分の気持ちに合う曲を無意識に欲し、その気持ちにぴったり合ってる音楽には涙がでるほど感動し、合わない音楽にはむしろ不快感を感じる場合もあるくらいです。第二次世界大戦中のナチスドイツではヒットラーがこの音楽の力により一般大衆の心を扇動したり、またユダヤ人への虐待にもこの音を使ったり した程です。

音楽はジャンルを越え、基本的に大きく2つのタイプに分けることができます。一つは気分を盛り上げるタイプの音楽。心がウキウキと興奮し、人を活動的にさせ、体を動かしたくなるようなタイプの音楽です。もう一つは、気持ちがほっとし、穏やかになるタイプの音楽。心が落ち着き静かになり、体の緊張がほぐれリラックスできるタイプの音楽です。

日常生活における人間の生活も、仕事など何か目的を達成するときはどんどん活動的に行動することが必要です。自分の持っている力を思う存分出し切り、積極的に活動することにより自分も満足できます。しかし、人の心も体も機械のように活動的に動き続けることはできません。むしろ集中した時間の中で効果的に活動をする為にこそ、心も体も深いやすらぎの中で活力を充電する必要があるのです。そして心静かなリラックスした環境の中で 自分を振り返る時間、自分を見つめる時間も必要なのです。そして自分の夢をかなえ、自分らしい生き甲斐ある人生を歩むために、今、何をすべきなのか、また 本当は一番何をしたいのか自分と対話する時間も必要なのです。

自分の本当の「力を出す」為に「力を抜く」時間が必要であり、力を出す時と抜く時の両極端な時間の使い方がより充実した人生につながるはずですが、高度に発達した産業化社会の中で様々なストレスに囲まれながら、昼も夜もテンポの早い生活のリズムの中で生きる私たち現代人は、 力を抜きリラックスする時間をなかなかとりにくく、また力を抜いているつもりでも、無意識に力が入ってしまい体の緊張がとれずに「ストレス」が蓄積され、不眠症になってしまう方もいる程です。

力を抜くことは、心と体の緊張をゆるめリラックスすることであり、リラックスした時間は、体に本来内在する自然の回復力を活性化する大切な時間です。心がほっとし、体も心地よいと感じる時間であり、自分の心と体、そして自分自身を喜ばせる時間といってもいいのではないでしょうか。

日常生活の中でリラックスをする方法は呼吸法を初め、様々な方法があります。自分にあった方法を見つけることが大切ですが、中でも自分の好きな音楽を聞くことは、積極的にリラクセーションをするための、簡単でとても有効な方法です。

生活のテンポが早い現代においては、一般的に気分を盛り上げるタイプのテンポの早いダンサブルでポップな音楽に人気があるようですが、仕事を終え、ゆっくりと心豊かなリラクセ−ションの時間を過ごすためには、ゆったりしたテンポで自分が心地よいと感じる音楽を自分の感性で探 すことが大切です。目を閉じてゆっくり呼吸しながら、自分が心地よい自然の中にいることをイメ−ジしながら音楽を聞いてみてください。騒がしかった心が落ち着き、穏やかな気持ちになれる曲、そしてその音楽の響きを体で感じてみて、すっと気持ち良く自分の体や皮膚感覚で受け入れられる曲、聞いているうちに心の深い部分がなんとなく暖かい感じを受けるタイプの曲を自分で探してみて下さい。

音楽や音は自分の経験や記憶と結びついていて、昔のことを思い出すタイプの曲もあるでしょう。しかしより深くリラックスし、積極的に体の自然回復力を活性化する時間を過ごすためには、自分の感情をゆさぶるタイプの曲より、もっと深い部分に響く音楽、何回も何回も繰り返し聞 いても飽きなく、聞きながらそのまま寝てしまっても安心できる音楽を探しましょう。自分の体の細胞や遺伝子には地球が誕生してからの長い自然の歴史がそのまま刻みこまれていると言われています。自分の感情より確かな体の感覚にゆだねてみて、何か温かなものにつつまれている感じを受ける、極上の音楽を自分のために見つけてみて下さい。

最近の進歩した人体生理学や精神神経免疫学では人がリラックスしたり笑ったり、快いと感じているとき、また高い志をもって生きているとき、脳から体に良いホルモンが分泌され、自律神経系や免疫機構、代謝機能などが活性化されるといわれています。また肌のコンデションもよくな り体の内側から美しくなることも実験によって確かめられているようです。

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